Paul Clifton / Evelyn Poolインタビュー

【ポール・クリフトン】ニュージーランドで醸造学を学び、2003年にハーンのワインメーカーになる。 元々趣味であった消防士の仕事を1996年に辞め、カーメル・ヴァレーにあるバーナーダス・ワイナリーと、 サンタ・クルズにあるバイイントン・ワイナリーで修行を積む。出身地でもあるモントレー地方の素晴らしさに魅せられ、 同地域のワイン産地としてのポテンシャルと地元の人間を信じてやまない。彼の好きな品種はピノ・ノワールである。
武村: ポールはニュージーランドで醸造の勉強をしてたんでしょ?どういう経緯でニュージーランドへ?

ポール・クリフトンさん

ポール・クリフトンさん

ポール:  元はカリフォルニアのカーメル・ヴァレーにあるバーナーダス・ワイナリーという小さなワイナリーで働いていたんだけど、そこで醸造技術はもとより、ワイン業界にまつわる様々な仕事をさせてもらったんだ。そうしたら、ワインという飲み物・業界に虜になっちゃってさ。

僕は人生で様々な経験してきているんだ。大学では経営学を学んだけど、でも実は経理が好きでさ、笑。卒業後は小さな会計事務所で働いていたんだけど、仕事がイヤでイヤで仕方がなかった。だから、仕事を辞めてスキーを教えることにしたんだよ。冬はスキー講師、夏は消防士として、山火事と戦うかんじでね、笑。

まぁ、結果的に、それもちょっと飽きちゃって、笑。1994年くらいかな?実家があるシャローンに戻って、初めてシャローン・ヴィンヤーズを訪問したんだよ。そしたら、樽とかブドウとか、畑とか見ているうちに、ワインの仕事をしたくなったのさ、笑。僕の先祖はスイス系イタリア人なんだけど、ワインに関しては、飲む専門だったんだけど、血が騒いでさ。

武村: シャローンが全ての始まりだったんだね?

ポール:  そうさ。バーナーダスでセラーマスターとして働いていたんだが、醸造学を学んでない自分にコンプレックスを感じるようになってきた。本当に成功して、トップに立ちたいならば、やっぱり醸造学を正式に勉強しなきゃダメなのさ。

武村: そうなの?アメリカだから、完全に実力社会なのかと思ってた。

エヴェリン:  ワインメーカーとして働く事はもちろん可能よ。でもちゃんとした報酬をもらって、評価をあげたいのならば、やっぱりちゃんと学校で勉強しなきゃだめなのよ。

ポール:  そう、だから本格的に醸造学を学ぶ決意をしたんだ。カリフォルニアでは、UC Davis とか UC Fresnoが有名なんだけど、DavisもFresnoも、住むのには刺激が足りなくて、笑。あと、どちらも、僕が一番学びたかった、「冷涼醸造学」がカリキュラムになかった。ニュージーランドの学校が、唯一、それを教えてたんだよ。それにニュージーランドは、住むのには最高だからね!!

エヴェリン:  どうせ、またサーフィンとかしたかったんでしょ。

hahn-02ポール:  否定はしないけどさ、笑。世界で唯一、同じ日にサーフィンとスキーが両方できる所なんだよ!

武村: なるほど、それが本当の理由なんだね、笑

エヴェリン:  やっぱり、笑

ポール:  当時彼女だった現ワイフを連れて1年半位ニュージーランドにいたんだ。卒業後は、そのままニュージーランドに残ろうかとも考えたんだけど、やっぱり家族が恋しくてね。それで、ちょうど同じ頃、バーナーダスでお世話になった上司から電話が入って、ハーンが新しいワインメーカーを探していると教えてくれたんだ。速攻、履歴書を送って、面接をしたのさ。あとはHistoryだね。それが2003年の1月の出来事だよ。

武村: ポールが好きな品種はピノ・ノワールだとハーンの公式サイトには書いてあるけど、それはニュージーランド時代の影響なのかな?

ポール:  そういう訳じゃないんだ。ただ単に、人生で最初に心を打たれたワインが1992年バーナーダス・ワイナリーのビエン・ナシード ピノ・ノワールだったのさ。それまではビールしか飲んだ事がなかったんだけど、それ以降ピノ・ノワールの虜になったよ。

武村: ハーンではどんなピノ・ノワールを造ろうと心がけているのかな?

ポール:  ピノ・ノワールは全て畑で造られるんだよ。だから、僕がワインメーカーとして出来る事は限られていて、畑でできたブドウを、そのまま自然にワインに醸造するだけなんだ。だからこそ、畑でちゃんとブドウを育成・管理しなきゃいけない。簡単と言えば簡単、難しいといえば難しいブドウ品種なんだ。

シャルドネは真逆さ。どんなシャルドネを与えられても、様々なスタイルに造り上げられるからね。樽を使ったり、使わなかったり、乳酸発酵を行ったり、行わなかったり。ワインメーカーの「美」を表現できるのがシャルドネだよ。

武村: ポールにとってどっちがいいの?

ポール:  もちろん、ピノ・ノワールさ!僕は幸せ者なんだ。ハーンで扱っているピノ・ノワールは世界でもトップクラスのブドウだから!だから僕はなにもしなくて良いんだよ、笑。

シャルドネは若干、政治的な面があるのさ。僕が造るスタイルという次元ではなく、ハーンのワインを買ってくれるお客様が喜ぶスタイルのシャルドネを造らなくてはならない。

武村: なるほど、ピノ・ノワールは育ってしまったら、もう手の施しようがないけど、シャルドネはどんな方向にも持って行けるって訳だね。

ポール:  その通り。ハーンで造っている、その他の品種もシャルドネに似ているんだ。例えばメルロやカベルネはどちらかをちょこっと混ぜてもそんなに味は変わらない。メルロにボディが足りない場合は、若干カベルネを混ぜる事によって補う事ができる。でも味は間違いなくメルロのままでいてくれるんだ。

Hahn Winery

Hahn Winery

ピノ・ノワールはそれが全くできない!ちょっとでも他のワインを混ぜると味が変化しちゃう。だから、ピノ・ノワールは畑でちゃんと可愛がってあげなきゃいけないんだ。それを学ぶ為にも冷涼醸造学を学んだのさ。

エヴェリン:  ピノ・ノワールで失敗すると、本当に酷いワインができるからね!笑

武村: サンタ・ルシア・ハイランズは、いわゆる「冷涼」な産地に入るの?

ポール:  基本的に、カリフォルニアの海岸沿いはどこでも「冷涼」だと言えるかな。明け方に霧に覆われるからさ。この霧がブドウの育成期間を長くしてくれるんだ。でもこの霧は湿度を上げてカビを発生させてしまうこともある。諸刃の剣だよ。

武村: なるほど、エヴァリンはポールと同じ位、ハーンで仕事をしてるの?

エヴェリン:  私は10年程よ。ワイン業界は35年以上なのよ。70年代だけど、テキサスで卸売業を始めた最初の人間なのよ!

それから、カリフォルニアに拠点を移して、ワイナリーをクライアントに持つマーケッティング会社を始めたんだけれども、そのクライアントの1つがハーンだったの。それで、ハーンの仕事がだんだんと多くなってきて、どうせならハーンに専念しようと思ってね、笑。インターナショナルのマーケティングは得意だったから。それに、デスクワークは私には向いていないのよ。世界中、旅をしながら、様々な人や文化と巡り会って・・・それが私が得意とすることなの。

ソムリエ武村

ソムリエ武村

ハーンは世界中、25カ国のマーケットで取扱ってもらってるのよ。アジアは大切なマーケットなの。特に日本はね、笑。台湾や香港、中国や韓国でもハーンが飲めるのよ。あ、意外だと思うけどヨーロッパ、特にイギリスとデンマーク、それにフランスやスペインでもね。フランスに限っては、他国のワインはあまり良く思ってもらえないんだけれども、パリのタイユヴァンではサイクルズ・グラディエーターのジンファンデルがグラスワインとしてリストアップされてるのよ!(タイユヴァンのプライベートラベルとして)

武村: そうなんだ!すごいことじゃん。うちのサイトでもハーンは必ず上位に入るトップセラーなんだよ。日本人にとって、ワインという飲み物は、いまだ特別な日に飲むアルコール程度なんだけど、ハーンのワインは、かしこまらないで飲めるカジュアルさがあって、味も親しみやすい。それに値段もお手頃だから、最高だよ!

エヴェリン:  それはありがたいこと。親しみやすいワインを造るという事に関しては、ポールの右に出る者はいないわ。食事とも合わせやすいし、果実味があるから、ふくよかに感じるの。

ポール:  ほら、ハーンで造るワインは、僕が造りたいワインというよりも、ハーンを飲むお客様に合わせて造るワインだから。

ハーンのシャルドネとかを見てみると、僕がこの仕事を始めたときは8割から9割、新樽を使ってたんだよ。でも当時は、そういうワインが流行だったから、僕自身は好きなワインじゃなかったけど、お客様の好みに合わせて造っていたんだ。売れてたし、それが自分の仕事だったからね。でもあるとき突然、上司が、「樽使い過ぎだな、ちょっと控えるか!?」って言ってきたから、「もちろん!!」と言って答えたのを覚えてるよ。今のハーンは、今の時代や流行に合ってると思うよ。

エヴェリン:  そうなのよ。2009年から、新樽の率を下げたのよ。

武村: そうだったんだ。じゃ、2009年からは違ったハーンのシャルドネが味わえるんだね。

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ポール:  ハーンは大きなワイナリーというイメージがあるけど、うちは、決して大企業ではないんだ。大企業だと、何をやるにしても、「数字」が大切になってくるけど、ハーンは、数字の前に美味しいワインを造るのが第一。僕の仕事は、与えられた条件で、希望小売の2、3倍もの味がするようなワインを造る事。それを自由にやらせてくれるのが、ハーンなんだ。

エヴェリン・プールさん

エヴェリン・プールさん

武村: うちが輸入してるのは、ハーン、サイクルズ・グラディエーター、そしてスミス&フックだけなんだけど、ポールはそれだけじゃなくて、他のブランドも手がけてるんだよね?そんなに多数のブランドをどうやって管理してるの?

ポール:  今は、ソレダッドにある、ハーンのメインのワイナリーに全てのブドウが運ばれてくるから簡単なんだ。ハーンが大きくなって大変なんだよ。でも自分一人で全部はできないから、信頼している部下をちゃんとトレーニングして、自分がいなくても、ちゃんと自分が求めているワインの味、造り方を日頃から学んでもらってるよ。じゃなきゃ、こんな風に日本に来ていられないからね、笑。

でもサイクルズ・グラディエーター専用のワイナリーを建設中で、大変になるのは、これからかな。僕のワイフがハーンでセラーマスターとして働いているから、色々とお世話になってるんだ。

エヴェリン:  そうなの!ポールと一緒に海外に来るのは初めてなの。うちは規模のわりには、少人数でやってるから、大変なのよ、笑。最近はフライング・ワインメーカーとかよく聞くけど、ポールは、ちゃんとしたワインメーカーで、ちゃんとワインを自分で造ってるから、忙しいのよ。笑。でもこれからも、もっと一緒にハーンの営業で世界各国を回りたいわ。

武村: 今、カリフォルニアで注目している畑とかある?

ポール:  昔からのあこがれで、今でも素晴らしいと思う畑は、ビエン・ナシードだよ!

エヴェリン:  あら?そうなの?

ポール:  あの感動をもう一度味わいたいんだ。それも、自分の手で造ったビエン・ナシードで同じ感動を味わいたい!

武村: 普段は二人ともどんなワインを飲んでるの?

広大なヴィンヤード

広大なヴィンヤード

エヴェリン:  私はいつもカリフォルニアばっかり飲んでるの。でもどちらかというとフランスワインが好きかな、笑。

武村: へ〜。ポールは?

ポール:  僕は飲まないよ。

武村: ???

ポール:  ワイフが全部飲んじゃうから、僕は飲ませてもらえないんだよ。笑

エヴェリン:  言いつけるわよ!笑。

ポール:  うそうそ、笑。自社のワインをよく飲むよ。でも他のワイナリーのワインもちゃんと飲んで勉強してるよ。どんなスタイルが人気あるのかとか、ちゃんと考えながらね。

カリフォルニアでは、カリフォルニアワインを飲む以外のオプションはほとんどないんだよ。だから、日本とかにきて、世界各国のワインが売られているのをみて、「都会だ!」って思うんだ、笑。

エヴェリン:  昨日は、お寿司と一緒に日本酒を飲んだわよ。美味しかったわ。

ポール:  日本酒はあまり経験ないんだけど、様々な味やスタイルがあるんだね、知らなかったよ。

武村: じゃ、次回は新橋の焼き鳥屋とかに連れて行ってあげなきゃ。ハーンのワインとも相性がいいし。

エヴェリン:  是非!

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